ISO第1回-ISO9001の正体
こんにちは、えちけんです。
社会人になっての数年間、開発や技術の仕事をしていた時、年に1度、上の人達がザワザワし始める時期がありました。
ISOだの、今回はこのチームだの、書類集めろだの。
正直、何をやっているのかサッパリ分かりませんでした。
その後、どうもISO9001が品質マネジメントでISO14001が環境マネジメントという区別くらいは分かるようになりましたが、「で、それって結局何?」という状況でした。
そもそも、法律や規定系の文書が苦手なえちけんは、全く興味がわかず、調べようという気にもなりませんでした。
そうこうして十数年。
会社も変わり、品質管理課という課に所属する事となり、お客様の監査を受ける立場になり、「興味ない」とは言ってられなくなりました。
- では、ISO9001って結局何なのでしょうか?
1.ISO誕生までの歩み
1-1.ISOとは?
ISOという言葉に何の意味があるのでしょう?
ISOはある言葉の略語です。その言葉とは、
International Organization for Standard
って、これからとったら、IOSじゃないか・・・と思ってしまいましたが・・・。
日本語では”国際標準化機構”といいます。
なるほど、ISOは組織の事だったのですね。
そして、ISOはスイスのジュネーブに本部をおいている、非政府機関です。
1-2.ISOの目的
ISOの活動目的は、国際的に通用する規格を制定することです。
この規格というものには、ネジなどの物に対する規格と品質マネジメントシステムなどのシステムに対する規格があります。
確かに、色々な国でそれぞれの規格で活動していたら、みんなで協力して何かをやっていこう!っていう時に障壁になりますね。
ネジ1本とっても、他の国で買ったネジを使おうと思ったら、全然使い物にならないのですけど・・・、みたいな事になると不便極まりないですね。
いや~、ISO様はこんなところでも活躍していたんですね。
1-3.ISOの歴史
1926年 万国規格協会設立
1942年 万国規格協会 活動停止
※第二次世界大戦のため
1944年 国連規格調整委員会が業務引継ぎ
1947年 国際標準化機構(ISO)設立
1987年 ISO9001制定。ISO認証制度開始。
2022年 全世界170ヵ国以上100万以上の組織が利用
最初に世界で規格を統一しよう!とみんなが集まってから、ISOが設立されるまで20年くらい経ってたんですね。
その間、戦争もあり、この時代の人はとても大変な時期を生きていたんだと思います。
そしてさらに、ISO9001が制定されるまで40年、僕が小学5年生の時にISO9001が出来たのか。
それが今や、170ヵ国、100万以上の組織で利用されているとは、このシステムが組織運営には必要なシステムだと多くの組織・人が認めているということなんですね。
1-4.ISO9001とは
ここまでで、ISOという組織がどういう組織で何をしているのかは分かったと思いますが、ISO9001ってつまり何なのでしょう?
ISO9001は”顧客に提供する製品・サービスの品質を継続的に向上させていく仕組みを構築するための要求事項を国際的に標準化したもの”です。
組織が取り扱っている製品やサービスに適した品質マネジメントシステムはそれぞれ異なってくると思います。
ただ、品質を継続的に向上させていくために、ここだけはおさえておいて!という項目を”要求事項”として整理し、標準化してくれているんですね。
1-5.ISO9001認証取得後に陥りがちなワナ
どの組織もそうだとは思うのですが、ISO認証取得が目的になっている組織が多いのではと思います。
ISO9001の認定を取得するだけで品質が向上すると勘違いをしているのか、若しくはもはや何のためにISO9001の認定を取得したのかが分からなくなっていまっているのでしょう。
これでは、多大な工数をかけて、何のためにISO認証を取得したのかが、さっぱり分からないです。
2.なぜISOを取得するのか?
最後に多大な工数と費用をかけてまで、なぜISOを取得するのか?
ISOを認定を取得するメリットをまとめます。
1.社会的信頼を獲得できる。
2.仕事の流れや手順が明確になる事で業務が効率的
になる。
3.個人特有の知識やスキルが共有化されるため、
組織の知識として後世に伝える事ができる。
4.継続的な改善により組織の成長が見込まれる。
やはり国際的に認められた規格であるISO9001の認定を取得しておけば、グローバル展開を行った際に信用の第一関門は突破できますね。
ISO9001の中の要求事項には、組織内の仕事の流れを明確にして文書化するというような事も含まれてますので、ISO9001を認定を取得する際には必然的に組織の業務をしっかり整理でき、後世にも残す事ができます。
また、特に製造業の場合、製造技術を職人的技術や知識として特定の社員が持っている場合があります。
その様な、特別な技術や知識も組織内で共有化・文書化する事で後世に残す事ができます。
そして、継続的に改善を行っていく事になりますので、組織が継続的に成長していく事ができるようになります。
ここまでで、みなさんもISO9001認定を取得しようという気持ちがわいてきたのではないでしょうか。
またISO9001の認定を取得している組織の人達も、改めてISO9001に対する見る目が変わってきたのではないでしょうか。
次回は、ISO9001の”原理・原則”について記載していきたいと思います。